カシミヤニットは、その柔らかな肌触りと優雅な風合いから、高級素材として広く愛されています。ニット業界に長らくいる私も調べる中でカシミヤニットの知らない一面がたくさんありました。
そんなみなさんが親しみのあるカシミヤニットの他素材との比較や代表するカシミヤブランド、カシミヤの等級について詳しく見てみましょう。
カシミヤヤギは普通の山羊とは何が違うのか?
カシミヤヤギは、インドの北部の高山地帯であるカシミール地方が名前の由来となっています。
現在は主に中国やネパール、モンゴルなどで生息・飼育をしています。
寒暖の厳しい環境下で生きている山羊であり、特徴としては寒さをしのぐために長い毛で覆われています。
この毛の表面は粗毛ですが、その下には柔らかい毛が生えているのです。
カシミヤと呼ばれる毛は、カシミヤヤギから採取された全ての毛を使用しているわけではありません。カシミヤヤギは、寒い冬の時期になると寒さを凌ぐために産毛が生えてきます。この産毛だけが採取されてカシミヤとして使用されます。
非常に手間がかかるだけではなく採取できる時期も限られており、
1頭から150〜250gほどしか採取できない貴重な素材です。
例えば、セーターを作るにはヤギ約2頭分もの毛が必要となります。
これらの生産量の少なさから、カシミヤは高価になります。
1匹のカシミヤ山羊からは1年に1回だけ毛を刈ることができ、この刈り取られた毛をカシミヤとして使用します。(1匹の山羊からカシミヤが取れるのは3歳までなので1匹から3回程毛を刈ることになる)
プライマリーカット(初毛刈り)
その中でもプライマリーカット(初毛刈り)と呼ばれる、生後1年目の毛は最も柔らかく、特に高品質とされます。
プライマリーカットから得られるカシミヤは、一般的に1級または2級に分類され、最高品質であり、繊維が細かくて柔らかく、不純物が非常に少ない特性を持ちます。10万円〜のカシミヤニットを展開するラグジュアリーブランドはこのように非常に希少なカシミヤを選定しております。
カシミヤの魅力
ANTHOM カシミヤ混カーディガン
カシミヤは、カシミヤ山羊の産毛から採取される繊維であり、その繊細で柔らかな質感が特徴です。以下に、カシミヤニットの魅力をいくつか挙げてみます。
1. 柔らかな肌触り:
カシミヤは非常に細かく柔らかい繊維でできており、肌に触れるときめ細やかで優しい感触をもたらします。
2. 軽量性:
カシミヤはウールよりも軽量でありながらも保温性が高いため、暖かさを提供すると同時に重くなりすぎないのが特徴です。
3. 上品な光沢:
カシミヤは独特の光沢を持ち、上品で高級感のある印象を与えます。
4. 保温性:
カシミヤは優れた保温性を持ち、寒い季節でも暖かさを実感させてくれます。
5. 耐久性:
適切にお手入れをすれば、カシミヤ製品は長く愛用することができます。
カシミヤと他の素材との簡易比較
特徴 | カシミヤ | アルパカ | ウール |
肌触り | 極めて柔らかで なめらか |
柔らかで滑らか | 毛羽立ちがある |
保温性 | 非常に高い | 高い | 高い |
軽さ | 軽量 | 軽量 | 毛羽立ちが あるためやや重い |
光沢 | 上品な光沢 | 絹のような光沢 | 毛羽立ちが あるため控えめ |
耐久性 | 適切なお手入れで 長持ち |
適切なお手入れで 長持ち |
摩擦に強い |
価格 | 高価 | カシミヤに 比べると手頃 |
カシミヤに 比べると手頃 |
この表は、カシミヤニット、アルパカニット、ウールニットそれぞれの特徴を比較したものです。カシミヤニットは非常に柔らかくなめらかな肌触りと上品な光沢があり、高い保温性を持っていますが、価格が高いです。
一方、アルパカニットも柔らかく滑らかな肌触りと高い保温性があり、価格も高めです。ウールニットは保温性が高く、比較的手頃な価格で入手できますが、毛羽立ちがあるためやや重くなりがちです。
代表するカシミヤニットブランド
カシミヤ製品を提供するブランドは数多くありますが、その中でも特に高い品質と優れたデザインで知られるブランドがあります。以下に、いくつかの代表的なカシミヤブランドを挙げてみます。
1. Loro Piana(ロロピアーナ):
イタリアの高級ファッションブランドであり、カシミヤ製品の品質とデザインにおいて世界的に評価されています。
2. Johnstons of Elgin(ジョンストンズ):
スコットランドの伝統的なカシミヤメーカーであり、高品質なカシミヤ製品を提供しています。
3. N.Peal(エヌピール):
イギリスのカシミヤブランドであり、上品なデザインと優れた品質で知られています。
4. Eric Bompard(エリックボンパール):
フランスのカシミヤブランドであり、洗練されたデザインと柔らかな肌触りが特徴です。
カシミヤの等級
カシミヤ製品の品質は、カシミヤの等級によって異なります。
以下に、カシミヤの等級とその特徴をまとめた表を示します。
等級(ランク) | 繊維の太さ | 繊維の長さ | 異物混入率 |
1級 | 14ミクロン | 34mm以上 | 0.1% |
2級 | 14~15ミクロン | 30~34mm | 0.2% |
3級 | 16ミクロン前後 | 28~32mm | 0.3%以下 |
4級 | 16ミクロン以下 | 30mm以下 | 0.3%以下 |
5級 | 16~17ミクロン以下 | 28mm以下 | 0.5%以上 |
6級〜7級 | - | - | - |
8級〜9級 | 17〜18ミクロン | 24mm以下 | 1%以上 |
まとめ
カシミヤニットは、その優れた品質と魅力的な風合いから、高級素材として世界中で愛されています。他の素材と比較してもその価値は際立ち、代表的なカシミヤブランドの存在もその証です。
また、カシミヤの等級によって品質が異なるため、選ぶ際にはその等級にも注目しましょう。
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