ニット製品は柔らかく繊細な素材でありながら、適切にケアすれば美しい状態を保つことができます。その中でも、アイロンがけはニット製品を整え、シワを取り除く上で重要な手順の一つです。しかし、間違ったアイロンがけは繊維を傷つけ硬くなったり、形状を変えたりする可能性があるため、注意が必要です。
1. ニット伸縮構造と生じる問題
- 「伸び」や「縮み」
着用や洗濯によってニットは伸びたり縮んだりすることがありますが、アイロンを使うことで絡まった繊維を整え、形状を整えることができます。
- 「シワ」
ニット製品はたたんだ際にシワができやすいですが、アイロンを使うことでふんわりとふくらみ、シワを取り除けます。
2. アイロンがけの基本原則
ニット製品にアイロンをかける際は、以下の基本原則を守りましょう。
-直接アイロンをあてない
ニット製品の素材には熱に弱いものがありますので、直接アイロンをあてないようにしましょう。
- 浮かせてかける
アイロンは生地から約1cmほど浮かせてかける「浮かしがけ」がポイントです。スチームをかける際には、生地全体に均等にスチームをかけるよう心がけましょう。
3. アイロンがけの手順
3-1. アイロンの温度設定
使用するニットの素材に合わせて、適切な温度設定を選択します。(詳しくは、下記記載の素材別アイロンをご確認ください)
3-2. スチームをかけてアイロンで整える
下記通り、袖山→袖前→見頃→襟元の順に行ってください。
- 袖山部分
スチームを当てしっかりと蒸気を吸わせます。その後温かいうちに赤矢印の方向に生地を伸ばして形を整える。
- 袖の前部分
上記、袖山手順と同じく袖山を上にした状態で平らにして、スチーム&サイズ調整を行います。
アイロンを丁寧に行えば、写真のように縮んでしまった袖部分も綺麗に復活することができます!
- 見頃部分
同じくスチームを当てしっかりと蒸気を吸わせます。その後温かいうちに赤矢印の方向に生地を伸ばして形を整える。
- 襟元部分
※襟が伸びてヨレヨレの場合は、スチームをしっかり当てた後に襟元を縮めたい方向へ10秒ほど手で絞ります。
すると伸びた編み地が少し詰まります。(最後に同じようにスチームアイロンで襟を整えてください。
3-3. 乾かす
サイズを整えることができたら含んだ蒸気が完全に乾燥するまで放置し、形を定着させてサイズ調整が完了します。
4. 素材別のアイロンがけ
低温と中温の設定を素材別に示します。
低温アイロン/〜110°C
- ウール、麻、ポリエステル、アクリル:
中温アイロン/110°C~150°C
コットン、ナイロン、ポリエステル
以上の温度設定は一般的な目安であり、製品の洗濯表示を必ず確認してください。
最後に、、、
ニット製品のアイロンがけは慎重な作業が必要ですが、適切に行うことで美しい状態を保つことができます。注意事項と手順をしっかり押さえて、ニット製品を長く愛用しましょう。
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