2025年のお礼と1年を振り返って。そして今後のANTHOM。

2025年のお礼と1年を振り返って。そして今後のANTHOM。

■ 今年もありがとうございました

2025年も、残すところあと少しになりました。
今年もANTHOMを応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

今年は「目的を3つに絞って走りきる」と決めて、なんとか走り抜いた1年でした。
このまま新年を迎えるのではなく、今年のことをブログにまとめて頭を整理する時間も大切だなと思い、書きはじめました。

■ 会社として、初めての一年

2024年5月13日に法人化し、2025年は「株式会社ANTHOM」として実質初めての決算を迎えました。
数字、契約、税務、人、事務など、華やかとは言えない実務を通して、「会社/ブランドを続けていく」という現実を改めて実感しました。

「ブランドを動かしている」「会社を育てている」という意識も強くなり、いろいろあった年でしたが、自分にとって大事な一年でした。

■ 2025年のANTHOMを振り返って

今年、ANTHOMとして新たにチャレンジ・体制変化があったのは3つです。

● スタッフ体制の変化

人の入れ替わりもありましたが、新しく加わった仲間や取引先にたくさん助けてもらいました。
卸先にももちろん感謝していますが、その前に、まずは「ものをつくる」人たちへの感謝。
工場や職人さん、ものづくりに関わるすべての方に、心から感謝しています。

2026年は、新しい体制でのスタートとなります。

● ブランドの「伝え方」の強化(ブランディング強化)

今年からは、パリのランウェイに立つようなモデルを起用するため、東京での撮影に切り替え、撮影ディレクションも刷新しました。
「いい服をつくる」だけじゃなくて、それを「どう伝えるか」。バイヤーさんにとっても、エンドユーザーにとっても、第一印象はとても大切。
だからこそ「伝わり方の質」を高めたいと思い、動いた一年でした。

その結果、昨年よりもブランディングの効果が出てきて、お客様からの評価にもつながりました。こだわった分、手応えを感じられる機会が増えたのは確かな収穫でした。

● 新ブランド「KALNA」の継承

今年の初め、ひょんなことから話が進み、新たに「KALNA」の運営を引き継ぐことになりました。
ANTHOMとはまた違う軸で魅力を持つブランドですが、自分たちらしくリブランディングを進めています。

ブランドは、名前だけではなく「誰がやっているか」でイメージや意味がガラッと変わると思っています。
KALNAを通して、ANTHOMを始めたころの初心も思い出しましたし、自分たちの立ち位置やスタンスを見つめ直すきっかけにもなりました。

そしてこのブランドは、引き継がせていただいた方や、今もサポートしてくださっている方々のおかげで成り立っています。
感謝の気持ちを忘れずに、地道に大切に育てていきます。


■ 2025年のアパレル業界で感じたことと、戦い方について

2025年のアパレル業界は、正直かなり厳しい一年だったと思います。

取引先の声を聞いても、

  • 「今月は厳しいね」が7割
  • 「ん〜ぼちぼちやね」が2割
  • しっかり売上を上げていたのは、30〜40代の経営者を中心としたわずか1割ほど

それでも、その1割の方々は売上以外の面でも前向きな姿勢を持っていて、印象的でした。

気候の影響も大きく、5月〜10月はずっと夏のような気温。秋はほとんどなく、冬物プロパーがリアルに売れるのは11月の一瞬。12〜1月はセール、2〜3月は「冬物の残りを出すか」「春物を出すか」読みにくい時期が続きます。

残暑の影響で8〜9月の売上が落ち込み、10〜12月も例年並みかそれ以下。チェーンストアでは体力が持たず、老舗の廃業もいくつか耳にしました。

人材面では、優秀な30〜40代が他業種にシフトしていく流れが加速。「アパレルは楽しいけど、食べていけない」というリアルな声も多く、若い人材が入りにくい業界構造になっています。

その結果、アパレル中小企業の上層部に危機感が伝わらず、「なんとなく今まで通り」で動き続けてしまう企業も増えている印象です。

僕が思うセレクトショップの“長く生き残る戦い方”

地方のセレクトショップにはまだまだ可能性があると感じています。

SNS発信で、商圏を「地元/県内」に絞ることで、これまで届いていなかった地域内の見込み客にアプローチができます。そこに加えて、県外に向けて発信すれば、プラスアルファの売上にもつながる。

とはいえ、やっぱり軸になるのは 「地元密着のオフライン販売」。

地域の気候や暮らし、顧客との関係性まで把握しているローカルショップは、大手ECにはできない販売力と信頼を持っています。

ここは大手が真似できない部分であり、地方セレクトショップの最大の強みです。

だからこそ、

  • 業務のDX化(業務効率・在庫管理など)
  • 自社ブランド開発(少ロットでも発信できる設計)は、これからの時代には欠かせない要素になってくると思います。

さらに、オフラインを強みにしながらも、オンライン販売も並行して強化すべきです。

“リアルな接点”と“利便性”の両輪が揃ったときに、小さなお店でもブランディングがより強くなる。その延長で、地方発のブランドストーリーを作り、ファンを県外に増やすこともできると思います。


メーカー・卸ブランドの“戦い方”

卸ブランド側も、これまでのように「作って納品して終わり」というスタンスでは生き残れなくなっています。

特にライブコマースや“ライバー卸”など、流行に乗った短期的な施策で売上を作るブランドもありますが、これは一過性のトレンド(一部を除き)。

売上が伸びたからといって安心せず、足を止めずに「次」を考える頭がないと、長くは続かないと感じます。

現場の声を聞いても、店頭の空気感が以前よりシビアで、バイヤーさんも「本当に売れるものか」をよりシビアに見ている。

だからこそ、メーカーもただ商品を卸すだけでなく、自ら販売の現場に立ち、POP UPでエンドユーザーの声を聞く動きが求められています。

あのユニクロの柳井正さんも現場だいいち主義で知られていて、あれだけの大企業であっても「ヒントは現場に落ちている」と繰り返し語っている。数字では見えない“肌感”を得るためには、自分の目で見て、耳で聞いて、現場に立つことが何より重要なんだと、あの規模の企業ですら実践している。

ANTHOMもそこを見習って大切にしています。

僕自身、自社POP UPを開催したり、卸先と一緒に販売イベントを開いたりして、現場での反応をダイレクトに感じる機会を持つようにしています。

これからの時代は、「作って卸すだけ」では難しい。現場を知っている人間・ユーザーと直接触れているブランドほど、強くそして長く生き残っていくはずです。そう思ってる。

 

なぜANTHOMのような小さなブランドが生き残れると思うのか。

ANTHOMは、生産・企画・営業・販売まで、すべてを自分たちで行っている小規模なSPAに近い形のブランドです(※工場での編みや縫製のみ外部)。


主な生産地である中国には、実際に毎年足を運んで工場や糸屋を自分の目で選んでいます。

2026年には、現場をより深く理解するために、中国工場で1ヶ月働く予定も立てています。


特にニットに関しては、「ゲージ(目の細かさ)」だけでなく、「度目(編みの詰まり具合)」が仕上がりを大きく左右します。

この調整には経験と視力が必要で、日本の高齢化により国内での安定生産は難しい状況。

現在は、中国の熟練スタッフがいる工場でなければクオリティが担保できません。

ただし、その中国の工場も今は危機的状況。大手の発注が減り、経営が不安定になりつつあります。だからこそANTHOMは、自分と同世代の中国の若手経営者が運営する工場とパートナーシップを組み、長期的な信頼関係を構築しています。


原価率に関しても、ラグジュアリーブランドが上代価格の5〜10%で作られているのに対し、ANTHOMは同等レベルの糸屋を使いながら、しっかりコストをかけて“高品質だけど手の届く価格”で提供しています。

さらに、小さなブランドは柔軟性が強みです。

コロナのようなパンデミック、為替変動、物流の混乱などが起きても、ワンストップで全体を把握しているから対応が速い。

こういった点が、ANTHOMのようなブランドが生き残っていける理由だと思っています。

アパレル業界は、もう「大きな会社だから安心」「有名ブランドだから安定」という時代ではなくなってきました。

むしろ、小さなショップやブランドのほうが、地元の空気を読み、エンドユーザーとちゃんと向き合い、柔軟に進化できる。そして僕はそういったお店やブランドに魅力を感じる。

次の時代に残っていくのは、“ちゃんと現場を見て、ちゃんと動く”人たちだと思っています。そしてAIを使いこなすこともマスト。

僕もそうでありたいし、ANTHOMもそうゆうブランドでありたいです。

■ 卸とtoCのバランス、そしてこれからの方向性

ANTHOMは卸からスタートしたブランドです。
セレクトショップの皆さまに育てていただき、広げていただけたことは本当に誇りです。

でも、卸だけではこれからの未来は描けない。
卸は大切にしつつも、POP UPやECなど、toC事業の強化が必要だと感じています。

ANTHOMは国内向けブランドですが、今後はアパレルブランドにとって海外戦略も重要な要素になってくる。
そしてやっぱりANTHOMは、ECよりも「オフライン/POP UP」が合うブランド。

そのためにも、「自分たちのプロダクトをどれだけ深く理解しているか」「それを、どこで・誰が・どう届けるか」を点ではなく線で考えていく必要があります。

その戦略を考えたりトライアルするのは時間も手間もかかるけれど、実は一番楽しかったりします。
アパレルも好きですが、ビジネスも好き。今の仕事、やっぱり自分に向いてるのかなと感じています。

■ 2026年の計画とこれから

来年は、ニット以外のプロダクト(Tシャツなど)でもANTHOMの世界観を表現するチャレンジをしていきます。
また、AIツールも取り入れて、業務や販促の実験にも取り組む予定です。

スタッフ体制も再編し、新しい体制で再スタート。POP UPなどtoC事業の強化とともに、ものづくりのクオリティも改めて大切にしていきたいと思っています。

やりたいことはたくさんありますが、しっかりと絞って、注力すべきことに集中していきます。
小さなブランドだからこそ、柔軟に動きながら、でも軸はぶらさずに。

■ ANTHOMの目指す場所

ANTHOMが目指しているのは、
「日本の上質なニットといえばANTHOM」と、第一想起されるニットブランドになること。

バトナーやジョンスメドレーのように、
服(特にニット)が好きな人の記憶に、ちゃんと残る存在になりたい。
そのために、自分たちらしく、地道に積み重ねていくことがすべてだと思っています。

■ 最後に

これは「私を評価してほしい」ための文章ではなく、ANTHOMというブランドを“知ってもらう”ためのブログ。

自分がどんな考えで活動しているのか。
何を大切にしているのか。
なんとなくでも伝わったらうれしいです。

厳しい世の中ですが、応援してくれる人の存在は、何よりの支えです。そして、「これからも応援してもらえたら、嬉しいです。」
そんな気持ちで、2025年のブログを締めくくります。

あまり文章は得意じゃないけれど、最後まで読んでいただきありがとうございました。

2026年も、株式会社ANTHOMと上江を
どうぞよろしくお願いいたします。

株式会社ANTHOM
代表 上江(かみえ)

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